読書案内「子どもの未来を育む自立支援」

著者:井出智博、片山由季 出版:岩崎学術出版

 

2021年全里大会第4分科会(自立支援)準備の打合せで出会った本です。

以下、「はじめに」より引用。「技術を身に付ける前段に、そもそも、おとなになりたい、将来について考えたいという精神的なレディネスが形成されていなければ、どのようなスキル支援も身に付きません。このような子どもたちにとってまず必要なのは、これらのレディネスを形成し、将来に対する肯定的な展望を持つことだと考えています。」この「レディネスの形成」という考え方もさることながら、「未来を考えることで、過去を整理する」という考え方が、ライフストーリーワークが難しい子どもたちに、一つのアプローチを提供するものと思えます。

著者の一人井出智博氏は、昔、リフレッシュキャンプに参加された方は覚えていると思います。ボランティアスタッフとして参加していた、あのイデッチです。

 

6歳で家族に見捨てられた時から、カイアは湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかった。

読書案内「ザリガニの鳴くところ」

著者:ディーリア・オーエンズ 翻訳:友廣純 出版:早川書房

 

この作品のジャンルを特定するのは難しい。フーダニット(Who done it?)のミステリであると同時に、ひとりの少女の成長譚とも、差別や環境問題を扱う社会は小説とも、南部の自然や風土を描いた文学とも捉えることができる。それほどに奥行きのある作品だということなのだ。ただしそこには全編を貫く一つの要素を読み取ることができる。それは“美と醜、優しさと残酷さを併せもつ野生”という要素である。(中略)ときにグロテスクとさえ思える野生の本能は、しかし、野生動物だけがもつものではない。以上、訳者あとがきより引用。

 

 

読書案内:「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」

 

著者:河合隼雄、村上春樹

 

新潮文庫

 

 

 

コメント:二日間にわたる対談をコンパクトにまとめたもの。対談の中身も面白いが、二人が加筆したフットノートも興味深い。村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」の話題が随所に出てくるので、先にそちらを読まれた方が分かりやすいかも。☆☆☆☆(山猫)

 

以下は河合隼雄のフットノート「暴力について」から引用:

 

村上さんが「ねじまき鳥クロニクル」の第三部に出てくる暴力について、「歴史的な暴力に呼応するものだという、一種の蓋然性というのですか、そういうものができてくる」と指摘されているのは、非常に大切なことと思います。日本人は、自分の内にあるこの暴力を意識化し、それを適切に表現する方法を見出すことに努めないと、突発的に生じる抑制のきかない暴力による加害者になる危険が高いことを自覚すべきと思います。オウムの事件もそのように見ることができます。あるいは何の罪もない人が「治療」という名のもとにHIV感染者にされてしまうのなども、近代的暴力の一つの表れと見ることもできます。

 

オウムにしろ、HIV感染の血液製剤にしろ、もともとの動機としては「暴力」どころか、「正しい」ことや「よいこと」をしようとする意図が働いています。しかし、そこに危険極まりない暴力が関与してくる。これを避けるためには、自分の中の暴力性を最初から考慮の中に入れて、行動することが必要なのだと思います。

 

 

 読書案内「オープンダイアローグとは何か?」★★★

 

著者:斉藤環 原著:ジャコウ・セイックラ、マリー・オルソン、デヴィッド・トリムブル

 

翻訳:斉藤環 発行:医学書院

 

 

 

 フィンランド発、もともとは統合失調症のための「限りなくケアに近いキュア」手法であるが、家族関係、対人関係で問題を抱えた子どもたち、あるいは大人たちのケアに、有力な示唆を含む。

 

 本書には、「詩学」とか「ポリフォニー」とか、独特の言葉使いがあちこちに散らばっており、少し難解さはある。しかし、全体を通して読むと、その言わんとするところが近づいてくる。どちらかと言うと、哲学書に近いのかもしれない。「詩学」とは「言葉の紡ぎ方」と解すると分かりやすいかもしれない。 以下は、他の読者の感想を引用。(山猫)

 

 

 

 対話は、人と人との「あいだ」に生まれる。対話は、人の心を癒す。実りのある治療は「開かれた対話」にある。 薬物投与は保険としてあるだけで、基本的にはしない。医者と患者の従来の上下関係は存在しない。治療が終わるまでは、同じメンバーが関わり続ける。本人の目の前で、今後の方針について話し合う。

 

 今までの精神医療を越える、強力でシンプルな手法。簡単に言えば「オープンに話し合う」というだけ。それだけで症状が治るというもの。統合失調症を始め、うつ病、PTSD、家庭内暴力など、その対象範囲は広い。(YS

 

 

 精神障害を抱える当事者として、自分ひとりで家族に理解を求めるのは非常に困難を伴い(そもそも、家族や他者に対して、十分な説明能力や説得能力を行使できないのがこの病気なのであって)、医療者に自分の状況を説明することすら困難を伴う。疲弊した精神状態で、精神科医の診察を受け、心理士のカウンセリングを受け、支援センターに行き、ハローワークに行き、などと、あちこち1人で回るのは酷なこと。そんな無力で孤立を感じる状況に、外部からチームで介入してくれたら、どれだけ助かるだろう。オープンダイアローグの日本への導入に強く期待している。(HO

 

読書案内 「発達障害 生きづらさを抱える少数派の『種族』たち」 ★★

 

著者:本田秀夫  SB新書

 

 

 

発達障害には自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動症(ADHD)などがあるが、これらは重なって現れることが多い。重複すると複雑な現れ方をするので、理解が困難になる。この本は多様な重複事例の検討から、「環境調整」によって生活面の支障を軽減する方法を提案する。DMPT症候群やESSENCE、発達障害の特性別評価法(MSPA)なども紹介されている。(山猫)

 

 

読書案内 「モンスターチルドレン」 ★

 

著者:ミヒャエル・ヴィンタ―ホフ 訳者:織田晶子  発行:新教出版社

 

 

 

 副題は「子ども時代を奪われた子どもたち」 著者はドイツの児童精神科と精神療法(心理療法)の専門医であり、社会心理学者。社会の変化と家族システムの変容から、子どもの心に起こっている現象を読み解く。「問題を起こしている子どもたちや青少年の大部分は、(中略)その精神的な成熟の度合いが、せいぜい3歳児のレベルで停滞しています。」何故こんなことが起こったか。著者曰く、1960年代後半の学生運動の担い手たちは、抑圧的な教育や規律の束縛から脱出しようとして、反権威主義的な教育構想を作り出した。結果、子どもとの正常な付き合い方や精神的な発達が失われた。とりわけ三つの関係障害が、子どもたちから真の成長の機会を奪っている。第一は親子関係が対等になってしまった結果、親は子を指導することを放棄してしまった。第二は、本来、子どもたちの愛情の投影面となるべき親が、親の欲求を満たすために、子どもを必要としている。第三には親と子の共棲的結合。親の精神が子どもの精神と融合し、子どもが子どもとして認識されなくなる。子どもは相手の人間を人間として認識しなくなる。 要点は「子どもが人間を認識する神経細胞を形成するには、乳幼児期に親の適切な対応が必要」と言うことなのだろうが、何が適切な対応なのかは明らかにはならない。社会的な価値観の変容もあろうが、大人になり切れない未成熟な親が、子どもを産み育てることの問題ではないのか。 

 

 ドイツ文学者小塩節は「人間として生きる価値、すなわち真の文化を、組織的に次世代に伝える義務を放棄した大人たちの無責任による」と書くが、親たちの世代が義務の放棄以前に「真の文化」を継承していたのか、疑問は残る。(山猫)

 

 

読書案内 「不登校は99%解決する」

 

著書:森田直樹 出版社:リーブル出版

 

 

 

 書名には「一日3分の働きかけで」という文字が添えられています。不登校は「心の栄養不足」とし、心の栄養とは「愛情と承認欲求を満足させること」と考えます。子どもたちの心の中にコップがあると考え、このコップに「自信の水」が入っていると仮定します。子どもたちは日々、この水を使って生活していますが、何らかの不適応状態になると、いつもよりたくさんの「自信の水」を使ってしまいます。必要なのは「自信の水」を注ぐこと、コンプリメント(誉め言葉)、観察記録の三つです。この本は不登校の子どもを持つ親を対象にしていますが、あとがきには「発達障害など問題を抱えた子どもさん適応指導にも効果」と書いています。この方法で不登校が解決した子どももいるのでしょうが、学校ありき、不登校は「困難に立ち向かう力の不足」という考え方には違和感が残ります。(山猫)

 

 

貧困、いじめ、勇気、学問・・。今も昔も変わらないテーマに、 

人間としてどう向き合うべきか。 

読書案内「君たちはどう生きるか」 

吉野源三郎著  マガジンハウス 

 

小6の男の子に買った本です。時代背景が少し古臭く、昭和初期にタイムスリップする感はあるけれど、そこで描かれる子どもたちの気付きや葛藤には普遍的なものがあります。主人公コペル君の体験が共感を呼ぶのでしょう、うちの子は何度も繰り返し読んでいました。以下、池上彰さんの解説より引用:

 

この本は、そもそも1937年(昭和12)年7月に発行されました。(中略)この時期は、中国大陸で盧溝橋事件が起き、日本が日中戦争の泥沼に入っていく時でした。日本国内では軍国主義が進み、社会主義的な思想の持ち主はもちろんのこと、リベラルな考え方の人まで弾圧された時代です。(中略)そんな時代だからこそ、ヒューマニズムに根差し、自分の頭で考えられる子どもたちに育てたい。そんな思いから、吉野氏は、この本に着手したのです。

 

マザー・グースを読んでいると、もっと楽しい。 

読書案内 新訳「メアリと魔女の花」 

メアリー・スチュアート著 越前敏哉・中田有紀訳 角川文庫  

 

2017年に公開されたスタジオポノック制作アニメの原作。以下、訳者あとがきより引用。 ・・とはいえ、魔法は、よいものであれ、悪いものであれ、永遠には続かない。だからこそ、肝心なところは自分でがんばるしかない。この物語は、ひとりの内気な少女が友を助けるために勇気を震いおこし、強大で凶悪な力に立ち向かっていく話だが、ここぞという場面で使うのは魔法ではなく、みずからの意思の力だ。そして、そうやって得たもの、身に付けたものは、決して消えはしない。どれほど時間が経っても、たとえ魔法の存在すら忘れてしまったとしても、メアリがもとの内気な少女にもどることは、もうないだろう。壮大な魔法の物語を通して、作者がいちばん伝えたかったメッセージは、そのことかも知れない。・・

 

自己肯定感につながるライフストーリーの旅 

読書案内 新訳「思い出のマーニー」  

ジョーン・G・ロビンソン著 越前敏哉・ないとうふみこ訳 角川文庫 

 

2014年公開のスタジオジブリ制作アニメの原作。アニメでは北海道が舞台になっていたが、原作ではイギリス、ノーフォーク州の海辺の村。以下、訳者あとがきから引用。 

・・アンナは友達や周囲の人たちになじめず、疎外感を覚えていた。もともと内気で、ひとりで考え事をするのが好きなタイプである。小さい時に母親と祖母を亡くしたことが、心の奥底に影を落としてもいる。しかし、それだけではない。やさしい養父母のプレストン夫妻に対して、「わたしを心から愛していないのではないか」と疑いの気持ちをいだくようになり、心が深く傷ついてしまったのだ。こうして、心ばかりか体まで病んでしまったアンナは、学校を長期欠席して、しばらく海辺の村で暮らすことになった。そんな傷ついた心のよりどころになったのが、不思議な少女マーニーとの出会いだった。・・

 

数学が苦手な子におすすめ 

読書案内「算法少女」 

遠藤寛子著 ちくま学芸文庫 

 

不思議なタイトルにひかれて読んだ本です。舞台は江戸ですが、久留米藩の殿様や、生葉郷(現在の浮羽町)の人々も登場し、親しみを覚えます。 

数学に苦手意識を持つ子どもは多いですが、こんなところから好きになるかも知れません。最初の証明問題は頭の体操。中学生から楽しく読めると思います。以下、裏表紙から引用。 

安永四(1775)年に刊行された和算書「算法少女」の成立をめぐる史実を丁寧に拾いながら、豊かに色づけた少年少女むけ歴史小説の名作。江戸時代、いかに和算が庶民の間に広まっていったか、それを学ぶことがいかに喜びであったかを、いきいきと描き出す。

 

 

読書案内「ユダヤ人の起源」歴史はどのように創作されたのか 

シュロモー・サンド著 ちくま学芸文庫

 

この文庫版は2017年7月発行だが、ハードカバーは2010年3月に発行されている。2010年4月、月刊誌DAYSが、この本を特集しており、要約を読むことができる。以下、文庫版裏表紙より引用。「二千年にわたる『追放=離郷』、そして約束の地への『帰還』。このユダヤの物語をもとにイスラエルは建国された。だが、そこに歴史的正当性はあるのか、そもそも、ユダヤ人とは何者か。著者は精緻な検証作業で、イスラエルにおける集団的アイデンティティを根底から突き崩す。民族の神話と出自は近代の創作であると暴露され、現国家に対し再出発を迫る。どうすればイスラエルは未来を拓くことができるのか。」

 

 改めて本書のキーワードであるnationと言う言葉を辞書(1977年版)で引くと、解説にJews are a people, not a nation. Russians are a nation, but not a single race. とある。people とは「共通の文化・理想・利害を持った文化的・社会的な集団」のことなので、「ユダヤ=民族」と思い込んでいた私としては、シュロモー・サンド以前にも、このような知見があったことに気が付く。

 

 「ネイションとは(中略)、祖先についての共通の誤解と、近隣住民への共通の反感とにより結び付いた人間集団である」カール・W・ドイッチュ『ナショナリズムとその将来』(1969年)

 

 

読書案内「ゆうじょこう」

 

村田喜代子著 新潮社

 

帯文に曰く「熊本の廓に売られてきた海女の娘イチが見た女たちのさまざまな生を描く」小説。時代は明治36年。文字という自分を表現する手段を獲得することで、自己を確立し、廓という牢獄から脱出していく物語ではあるが、現実の世界に実在した遊郭と言う異界、しかしその異界は姿を変え今もなお存在するという控えめな警告でもある。

 

メディアは人間の欲望を掻き立て、不用心な人間たちを絡め獲る罠が、あらゆるところに張り巡らされている現代。私たちは既に異界に捉われているのではないのか。「波の上にて死にまする」と言うイチの揺るぎない確信。自分がどこへ向かうべきか知っているということが、どんなに大切なことか。それがこの物語の本当の主題かも知れない。

 

 

読書案内「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」

 

東田直樹著 角川文庫

 

 

 

12月に放送されたNHKスペシャル「自閉症の君が教えてくれたこと」をご覧になった方には説明が不要かと思います。オンデマンドで配信中ですので、ご覧になれる方は是非お勧めします。著者がこの本を書いたのは13歳の時。自閉症とはどういうことなのか、どのような困難が当事者に起こっているのか、その世界を説明してくれます。もちろん彼が自閉症者の代表で無いことは、彼自身が良く分かっている。けれども、様々な自閉症スペクトラムに属する子どもたちを育てる私たちにとって、唯一、当事者によって書かれたガイドブックではないかと思います。英語版翻訳者のディヴィッド・ミッチェルの「解説にかえて」も必見。

 

 

読書案内:ジョン・バーニンガムの絵本

 

緻密なデッサンと大胆なデフォルメが織り成す、夢があふれる不思議な作画、ほのぼのとしたストーリーのところどころに、人生の哀歓や大人社会への皮肉が、スパイスのように散りばめられています。子どものための絵本ですが、大人が読んで童心に帰る絵本です。ジョン・バーニンガムの絵本は沢山ありますが、今回は4冊を紹介します。

 

 

 

「おじいちゃん」ジョン自身の祖父の思い出と、娘エミリーと彼女のおじいちゃんとのやり取りが合わさって出来上がった絵本。(ほるぷ出版)

 

 

 

「いつもちこくのおとこのこ ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー」法廷では被告人はフルネームで呼ばれるという慣習があるが、この本のタイトルはそこからヒントをもらっている。(あかね書房)

 

 

 

 

 

「いっしょにきしゃにのせてって!」は環境問題をテーマにしている。この作品は熱帯雨林の保護に尽力し、その活動ゆえに凶弾に倒れたチコ・メンデスにささげている。(ほるぷ出版)

 

 

 

 

 

「旅するベッド」ベッドは心からの安らぎを感じる場所。またベッドから、ありとあらゆる想像が生まれる。これはそういう話だ。(ほるぷ出版)

 

 

 

 

 

 

「ジョン・バー二ンガムってどんな人?」と言う方には「ジョン・バーニンガム わたしの絵本、わたしの人生」(ほるぷ出版)をお勧めします。

 

 

 

読書案内:子育てや人間関係に悩んでいる人、アドラーを手短に知りたい人のために。

 

「超図解 勇気の心理学 アルフレッド・アドラーが1時間で分かる本」

 

中野明 著  学研

コメント:世の中、アドラーブームと言うことで書店には漫画版を始め多くの解説書が並んでいます。王道のテキストは「人生の意味の心理学」らしいのですが、ちょっと分厚い。そこで、少し手軽に学びたい人のための解説本です。

タイトルに「超図解」なんて類の本は内容がいい加減なことが多いのですが、この本はお勧めだと思います。でも1時間ではちょっと無理です。私は何日もかけて少しずつ読みました。以下、前書きより引用。

そもそもアドラーを体系的に理解しようと思うと、これがかなり困難な作業になります。それには理由があります。アドラーはあまり書くことが得意ではありませんでした。「書く人」ではなく「語る人」でした。主要著作のほとんどは自分の教え子やフリーランスの編集者によって取りまとめられたものでした。それらはアドラーが行った講義やノートを中心に編まれたものでしたから、どうしても体系的なものになりにくく(中略)アドラー理論の構造を把握するのは、なかなか至難の技であるわけです。そこで本書では、アドラーが主張した理論を体系的に理解するための枠組みを示すことを目的にしています。

 

 

読書案内:思考を停止せずに現実と向き合うために

 

「ハンナ・アーレント 『戦争の世紀』を生きた政治哲学者」

 

矢野久美子著 中央公論新社

 

コメント:お正月にコンビニで「人生を楽しくする哲学一夜漬け」(日経BP社)と言う本を買いました。「スティーブ・ジョブズと禅」など、これはこれで面白いのですが、網羅されている哲学者はほとんど男ばかり。女性の哲学者はいないのかと思いました。

 

女性の哲学者はいないわけではなく、男社会から無視されてきた側面が強いようです。

そこで行き着いたのが「ハンナ・アーレント」

彼女は1906年生まれのユダヤ系ドイツ人。ナチスから辛くも逃れて、アメリカに亡命。「全体主義の起源」など多くの著作があります。

この本は、ハイデガーやヤスパースなど同時代の哲学者とのかかわりや、忍び寄るナチスの影、収容所の生活、逃亡など、生身の人間としてのアーレントの思考が生き生きと描かれていて、久々に「ちゃぶ台をひっくり返されたような」発見がありました。

他にも「ハンナ・アーレント伝」(晶文社)などの大作がありますが、この本はコンパクトにまとまっているので、ぜひ、多くの女性に読んで欲しい本です。

以下は出版社からの案内です。

 

20世紀を代表する政治哲学者の生涯

「全体主義の起源」「人間の条件」などで知られる政治哲学者ハンナ・アーレント。未曾有の破局の世紀を生き抜いた彼女は、全体主義と対決し、「悪の陳腐さ」を問い、公共性を求め続けた。ユダヤ人としての出自、ハイデガーとの出会いとヤスパースによる薫陶、ナチ台頭後の亡命生活、アイヒマン論争・・。幾多のドラマに彩られた生涯と、強靭でラディカルな思考の軌跡を、繊細な筆致によって克明に描き出す。

 

読書案内:親子で読みたい物語 

「走れ、走って逃げろ」

ウーリー・オルレブ作 母袋夏生訳

岩波少年文庫

コメント:

読書好きの小四の男の子のために購入しました。出版社は「中学生から」と表示していますが、難しい漢字にはルビがあり、小学生高学年なら十分に読めると思います。戦争と民族差別の極限状況を生き抜いた少年の物語で、このサバイバルの物語は、過去、現在の虐待から脱出しようとする子どもたちにも勇気を与えるのでは無いでしょうか。

 

以下は出版社からの案内です。

第二次世界大戦下、壮絶な運命を生き抜いた少年の体験を聞いて、オルレブが物語としてまとめた作品です。

ポーランドでは、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の嵐が吹き荒れていました。少年スルリックは、ゲットー(強制居住区)のなかで家族とはぐれてしまい、一人で壁の外へ脱出します。

ところが、わずか8歳の少年を待っていたのは、つねに危険と背中あわせのサバイバル。あどけない笑みの持ち主は、ユレクというポーランド人の名前を名乗り、キリスト教徒のふるまいをおぼえ、森と農村を放浪します。

過酷な月日のなかで、さまざまな知恵や技術を身につけ、ときには友情を育みますが、ついには事故で片腕を切断、いつのまにか過去の記憶も失ってしまいます。どんな状況のなかでも前向きに生きようとする少年。その勇気に心を激しくゆさぶられると同時に、戦争は恐ろしさについて考えさせられる一冊です。



SOS子どもの村JAPANが雑誌「かぞく」を発行しました。
夜間保育園を立ち上げた天久さんの
記事は、里親会の皆さんに読んで欲しい内容です。
田北さんの「こども食堂」の記事、
こんな食堂、福岡でも作れると良いなと思います。
秀逸なのは鷲田清一さんの家族論。
家族の食卓では山形さんの「食べ物は一番の愛情メッセージ」という言葉に、我が家の食卓を振返ります。
遠藤綾さんの「夜のパパ」の紹介にも、はっとするものがあります。


販売価格は500円(税込み)、
ご希望の方はリンクよりSOS子どもの村JAPANにご連絡いただくか、
               里親会で取り寄せもできます。
書店キューブリック(箱崎店、赤坂店)でも販売しています。


私が息詰まった時に大変お世話になりました本を

                 紹介させていただきます。(里親Iより)

小学館新書   2014/2/3発売

思春期の子に、

本当に手を焼いたときの処方箋33 著/土井 高徳

どんな子にも即効性がある思春期の処方箋

子どもの言葉が荒くなった。

暴力をふるわれた。

口をきいてくれないので何を考えているのか

わからない・・・。

10歳からはじまる思春期。

子どもの突然の態度の変化に戸惑う親は多い。

37年間に100人、

福岡県北九州市の「土井ホーム」にやってくるのは、

ほかの施設では手に負えないほど心に傷を抱えた子どもたち。

ともに暮らしながら心の傷を癒し、社会へと自立させてきた日本でただひとりの

「治療的里親」が、だれにでもできて、どんな子にもすぐによく効く

10歳~22歳思春期の子育ての処方箋を伝授。

 

小学館の「edu」に三年間にわたり連載されていたものが、

この度一冊の本となりました。

里親のみならず、一般のお母さんたちにもとても参考になる一冊だと思います。

子どもに対する接し方が具体的、かつ分かりやすく書かれています。

何度も読み返し身につけたいと思う内容があふれています。

この本は持ち歩くのにぴったりのサイズなので、

私は常に持ち歩いて読んでいます。

子育てで困っている方や悩んでいる方にお薦めの一冊です。