『子どもの力は無限大』     里母IN

 

K君は本が大好きで、毎日、何かしらの本を読んでいます。図書館にも行きます。本屋さんで本を見るのも買うのも大好きです。そのお陰か、初めの頃、喋るのが苦手で言葉がうまく出て来なかったのが嘘のように、今では多くの難しい言葉を沢山知っています。苦手だった国語も語彙数が増えると同時に点数が上がってきました。

そんな彼が、ある時、本屋さんで『キッズペディア 世界遺産』の本の売り出しのポスターに目を奪われました。どうしても欲しいというので、早速、予約をして、数ヶ月後の発売日を楽しみに待ちました。発売当日、大喜びの彼は、その日のうちに分厚い本を全部読んでしまい、こう言ったのです。「この本、間違いがあるよ」と。そして、その本の出版社のHPに、メールを書いたのです。よく分からない私は半信半疑で彼の行動を見守っていました。すると、すぐに出版社からお礼のメールが来て、その後、編集長さんからお便りが届きました。私も含め、沢山の大人が気付かない間違いに気づ目…

子どもには、秘めた力が無限にあることを教えられた気がしました。だから子育ては楽しくてやめられない…未来を楽しみに、彼の成長をこれからも、そっと見守っていこうと思っています。

 

『お弁当』    里母IN

 

我が家のTくんは、発達障害です。彼の特徴の中で食べ物に対する『こだわり』は、少し不思議なところがあります。今日はその中で『お弁当』を紹介します。

Tくんは、アレルギーもあり、卵や甲殻類が食べられません。その上、材料が沢山混ざっているメニューは、口の中での、食感が気持ち悪いらしく、嫌がることも多いです。そこで、お弁当の日には、必ず前日に打ち合わせとシュミレーションです。

 

例えば、先日の遠足…メニューは、『大きなタッパーに炒飯(Tくんの大好きなメニューのひとつ)、おかずは、ひとつずつ小さなタッパーに別々に入れました。タッパーの数は大小、全部で五つです』以前、お弁当箱に詰めてあげたところ、『匂いや汁がご飯についている』と言って多くを残して帰って来ました。それ以来、見た目はどうであれ、彼の要求に応じた食べやすさを第一に考えてお弁当箱を選んでいます。『お友達、なんか言った?』と聞くと、『お弁当箱の数、凄いね~』って言った。と、笑ながら話してくれます。友達と違うことで目立つ事より、素材が混ざらずに美味しく食べられる事の方がTくんにとっては大切な事のようです。彼の食事には、この他にも、色々なこだわりが多くあります。

それをどのような工夫で偏食をなくして行ったか、今後また、紹介して行きたいと思います。

 

Tくん日記①『あのあのあのあの』       里母IN

 

Tくんは、発達障害である。発達障害は一人一人様々に様子が違っている。日頃の生活において大切なことは、先ず、その子の特徴を掴み、その子の苦手さを理解してあげることだと思う。

T君の特徴の一つに『文章を組み立てるのが苦手』が、ある。例えば、ある日の午後、学校から帰って来て、開口一番『今日ね~あのね~あの大空に~って言うあれがね、あのあのあのあの~ってなってね~』

初めの頃、私はこの程度の文章でT君の表情を読み取り、気持ちを理解してしまい、『音楽の時間の話?プレイヤー壊れてたかCDにキズが入ってたのね~みんな、大笑いしたやろ?』と、会話を続けてしまうことがあった。でも、彼を養育して行くうちに、『国語力の弱さ、文章を組み立てるのが苦手』という弱点に気づき、これを鍛えるには日頃の会話のキャッチボールが一番ではないかと考えた。そんな訳で毎日努めてT君と会話をすることが日課となっていった。

 

私『何の話?』T君『音楽の時ね』私『何が?』T君『あの大空を~って曲あるやん?そのCDがね』と、今では会話が弾むようになって来た。初めのうちは、中々言葉が続かなくて、涙を目にいっぱい溜めて固まってしまうことも多かったけれど、『楽しかったことを伝えたい』と思う彼の気持ちは、日に日に力をつけている。まだ時々、主語が抜けたりして、家族から『誰が?』と聞かれることもよくあるけれど…

 

Tくんは今、通級教室で作文の勉強を頑張っている。文章を組み立てると

言う苦手な部分を、伝えたいことを誰か(この場合、通級教室のS先生)とおしゃべりしながら箇条書きでメモに残し、その後、すぐにパソコンに向かってメモを見ながら、さっきしゃべったことを文字にしていくのである。繰り返し行うこの訓練で、ずいぶん文章が書けるようになってきている。いつの日にか、『僕は、文章を書くのが苦手なんだ~』という彼の言葉が消えることを願って、『すごいね~上手に書けるようになったね~』と今日も私は言葉をかける。

 

『二分の一成人式』   里母IN

 

T君、二分の一成人式おめでとう。

クラスのみんなの前での発表はドキドキしたよね。教室の一番うしろにいても、そのドキドキが伝わってきたよ。

 

二分の一成人式の一ヶ月ほど前に、担任の先生から電話をもらって、君が自分の生い立ちをクラスのみんなの前で話すと聞いた時は、本当にびっくりしたよ。

生まれてから今までのことを、きちんと振り返ることができてよかったね。

本当に立派だったよ。

 

『僕のお母さんはどんな人かな?』

『名前はなんて言うのかな?』

『どこに住んでいるんだろう?』

『いつか、会えるかな?』

何度もそんな話をしたよね。

二十歳(はたち)になったら、一緒にお母さんを探して会いに行こうねって約束したよね。

きっと会えるその日まで、毎日笑って楽しく過ごそうね。

そしてとびっきりの笑顔でお母さんに会おうね。

『僕を生んでくれてありがとう』って…