More Coming Soon~~

 

『熊本地震から1年がすぎました』          里母SG

 

今年もゴールデンウィークが終わりましたね。我が家では昨年のゴールデンウィークのことを思い出し、懐かしいね。と夫と先日話し合ったことがありました。我が家の実子である双子の娘たちは、昨年3 月熊本の大学を卒業したのですが、そのとたんの熊本地震だったのです。周りから「幸運だったね。」と言われるたびに申し訳がないような気持ちになったものでした。

彼女たちが熊本での生活の楽しむことができた背景には、熊本で大変お世話になったYさんという里親さんの存在がありました。Yさん宅の小学生の子どもさんに学習支援(とは言っても名ばかりでしたが)をしていた娘たちをとてもかわいがってくださっていたのです。とても素晴らしい里父さん里母さんで、特別養子縁組されたお嬢さんを育て上げた後、里親として手を挙げた方々で、子どもさんたちを愛情深く大切に育てる一方、自立に向けてもしっかり道をつけていけるように考えられていました。そのためにはどんな苦労をも厭わないその献身的な子育ての姿勢は「お母さんの里親生活を見ていても好きでやっているんだな。くらいしか思わないけれど、Yさんを見ていると、里親さんって本当に立派だと思

う。私も将来こんな子育てがしたい。」と娘に言わしめておりました。

さぞお疲れだろう。ゴールデンウィークに遊びにいらっしゃいませんか?せめてお子さんだけでも。とお声掛けしたところ、最初は固辞されていたのですが、続く余震でお子さんも疲れている様子で、では少しだけお願いします。とのことになりました。Yさんが子ども二人お世話になるのはあまりにも申し訳ないから熊本児相にレスパイト制度が使えないかお願いしてみる。とおっしゃっていて、初めてのことながら双方の児相のスピードは鮮やかであっという間にレスパイトが適用できるとのことになりました。

実際にはYさんが遠慮され、2泊3日という短い期間でしたが、余震がない3日間をみんなで楽しみました。とても素直で優しい兄妹で、大好きな回転寿司(その時期生ものは食べられず、熊本のお寿司屋さんは閉まっていたそうです)を堪能し、また熊本では、学校や公園を始めあらゆる施設が、避難所になったり閉まっていたりしていたため、外遊びができる施設を巡り、いっぱい体を動かして元気に帰っていきました。4年間慣れ親しんだ「K先生」が一緒だったせいか、心配していたYさんと離れた寂しさもあまり感じなかったようでした。

また里子同士の交流も見ていて面白いことがありました。その時期、実親さんとの交流に気がすすまなかった我が家の子どもたちに「私たちはお母さんがどんな人なのかも知らない。会えるなんてうらやましい。」と話してくれたようで、「お母さんに会えるって羨ましいと思ってもらえるんだ。」と納得していて助かりました。お子さんたちに「次は夏休みに」と誘いましたが「ずっと学校が休みだったからたぶん僕たちに夏休みはないと思うんだ。」とのことでした。(なんとそれどころか、夏休み以降の授業は毎日6時間ぎっしりだったそうです)

相変わらずYさんが大好きな娘たちは、今でも折に触れて熊本に遊びに行きます。娘たちが何を話しても何をしても喜んで面白がって耳を傾けてくださるようです。縁もゆかりもない娘を受け入れ、いまだに温かい居場所になってくださること。私たちもお付き合いさせていただいていますが、本当に誠実で優しく飾らないお人柄で心から尊敬申し上げています。

こんな風に、里親をしていなかったらとても知り合えなかったであろう素晴らしい方々に出会えるのもまた里親の醍醐味だなと思う今日この頃です。

熊本地震から1年。今回のことを何かの形で文章に残したくて書いてみました。

 

『お母さんには悪いことをしちゃったな。』  里母SG

 

我が家でお預かりしている女の子は、小学生3年生。きらきらとよく動く黒目勝ちの瞳が大変愛らしい女の子です。感性豊かで、時々非常に心を打つことを申します。

 

先日、センターの担当心理士さんより児童面接を終えた彼女が、帰宅の道々、話せたことが大変うれしかったので皆さんと分かち合えたらと思います。

 

児童面接では、お話する中で、「子どもの権利」について触れてくださったようでした。

以下は私と彼女のやり取りです。

 

彼女 「子どもの権利っていうことを先生から教えてもらったよ。子どもは絶対に叩かれたり、殴られたりしちゃいけないって。」

私  「ほう。それはいいことを教えてもらったね。」

彼女 「・・・うーんとね。それは大人もそうだって。大人も同じ権利があるって。」

私  「なるほど。そうだよね。」

彼女 「だからね。お母さんには私、ほんとに悪いことしちゃったなあって。」

私  「???」

彼女 「私、どうしようもなくなると、きーーーー!ってなって、お母さんのこと追いかけて叩いたり蹴ったりするでしょ。」

私  「あ~!そのこと!」

彼女 「・・・ごめんね。」

 

お預かりして5年。家族で大事に育ててきましたが、しんどいことも多い日々でした。

きーーーっ!!と言っていたのは私だってそうでした。

彼女に謝ってもらいましたが、私は彼女の権利を守れてきたでしょうか。

 

私  「・・・お母さんもおこりんぼお母さんでごめんね。」

彼女 「そんなことないよ。たいていは優しいから大丈夫♡」

 

と、手をつないで帰ることができたセンターの帰り道でした。こんな通所なら1年に1回と言わずもっとあってもいいな。と思いました。

 

この夜、私が「子どもの権利ノート」を読み返したのはいうまでもありません。

 

『貴女は本当に可愛いね』        里母SG

 

父に髪を梳かしてもらったお風呂上り。母にお腹をなでられてお昼寝していた午後。小さな頃のこんな風景を思い出す時、必ず両親からのこの言葉がついていた。

年齢を重ねてみて、「可愛いね。」→「私たち親にとっては。」という但し書きがついていたことがわかり、少しがっかりしたこともあったが、「かわいい。かわいい。」と育てられた温かい記憶は、太く張り巡らさせた根っこの一部になって今も私を支えている。

縁あって今、私は小さな娘を育てている。

ある日、お友達とのケンカの果て「不細工!」と言われたんだと、憤慨して学校から帰ってきた彼女。怒りに燃える彼女の話を聞きながら、ふと「それで、貴女は自分を不細工だと思う?」と、尋ねてみた。

「お母さんもお父さんもお姉ちゃんもお母さんのお友達も、み~んな私のこと、かわいいって言うもん。お洋服だって髪型だって、お母さんがいつも可愛くしてくれているもん。毎朝、可愛いってお母さん言うもん。私不細工じゃないもん。・・・・だから大丈夫!」

言いたいだけ言ってしまうと、満足した彼女は大きくうなずいて宿題にとりかかった。

私は彼女の根っこになれるだろうか。

 

『ぼくはどんな赤ちゃんだったの?』  里母SG

 

我が家の可愛い末っ子のTくんが、「ぼく、赤ちゃんの時、どんな赤ちゃんだったの?」と私たちに聞いてくるようになりました。

先日、彼が2歳になるまですごした乳児院の先生のご厚意で遊びに行くことができました。

たくさんの彼の乳児期の写真に、細やかな成長の記録。そして、たくさんの先生がたからの「大きくなったね。よく来たね~」と温かい笑顔をいただいて帰ってまいりました。

 

以下は、お礼のメール文です。

 

先生がたへ

先日はお忙しいところ、訪問させていただきありがとうございました。

 

Tくん、そうは見えなかったとは思いますが(笑)実はとても喜んでいて、昨日は帰ってからずっと自分の「成長の記録」を見つめておりました。何回も「読んで。読んで」とせがまれました。

 

「ぼくはどんなふうに歩きだしたのかなあ?かわいく歩いたのかなあ?」とか「ぼく、抱っこされていておろすと泣いていたって書いてあるけどどうしてかなあ。」とか、にこにこしていました。

懐かしく温かい思い出に包まれているTくんを見ていて、私たちまで嬉しくなりました。

 

3歳からの彼しか知らなかった私たちでしたが、乳児院で大切に育てられていたことが、たくさん伝わってきて、伺って本当によかったねと夫と話しています。

またTくん、発達がゆっくりであるにも関わらず、我が家に一緒にやってきたお姉ちゃんと比べて、愛着の形成がスムーズだったのは、この乳児院での育ちがあったからだと納得もできました。

 

お姉ちゃんについても、残っている写真を探してくださってありがとうございました。とても喜んでいました。彼女は、自分の小さい時のことが知りたいと強く思う反面、それをまだママには直接聞くことができなくて、昨日も「私も赤ちゃんの時の写真が欲しいけど、それをママには聞けないんだよ。お母さんにだったらなんでも話せるんだけど、どうしてかなあ。」とつぶやいておりました。難しいですね。

 

昨日いただいたTくんの成長の資料は、我が家の宝物になりそうです。

 

もしよかったら、Tくんが育っている我が家にも一度お越しください。

この度は、お忙しい時間にお邪魔したにもかかわらず、温かく迎えていただきありがとうございました。

 

追伸  あれから「ながたベーカリー」で美味しいパンを買って春日公園に行き、3時間たっぷり遊んで帰りました。

乳児院→春日公園というツアーがとても気に入った二人です。

このセットでまた行きたい!と騒いでおります。またよろしくお願いいたします。(笑)

 

『彼女のこと』  里母SG

 

「里親さんがもっと増えて里親さんのとこに行きたい子が全部行けるようになればいいのに。」と言い置いて、彼女のお預かりは終わりました。

 

彼女は、措置先が決まるまでの間一か月だけ、お預かりした女の子でした。

彼女は、学校と部活が大好きで、学校を自分の居場所として生きていた子どもでしたので、学校に通えない一時保護所はとても辛かったそうです。同じ校区ではなかったのですが、

我が家からだったらなんとか通えることができるからと、家から学校に通うことになりました。

毎朝、元気に起きてきて「やっと学校に行ける!部活ができる!」といきいきと学校へ向かう姿を見ていると、本当によかったね。と思う毎日でした。

 

そうこうしているうちに、自分の思いを誰かに受け止めてもらうことに飢えていた彼女は、生まれてからの記憶と思いを全部私に話すつもりのような勢いで、話を始めました。

 

毎晩、我が家の里子ちゃんたちを寝かしつけて寝室を出ると、身を乗り出してリビングで待ち構える彼女がいました。

 

「自分が話したいときに話したいことをしゃべってよくて、それをいつも聞いてくれる人がいるって、嬉しい!」と、毎晩2時間、私のそばから離れない彼女でした。その欲求は貪欲で、いつもは全然私のことなど心配しない夫からも「すごく張り付かれてるけど大丈夫?」と心配されるくらいでした。

 

我が家の里子ちゃんとの暮らし全般にも目を見張り、食卓に一緒につくとか、添い寝するとか、お風呂に一緒に入るとか勉強を見るとか、そんな当たり前のことを、「こんなに子どもって大事にしてもらえるの?」と感嘆していました。

 

今でも、便箋4枚に細かい文字で埋め尽くされた手紙が定期的に届きます。

遊びにきてもらったり、遊びに行ったりと交流は続けていますが、なかなか新しい環境になじむのに苦心している彼女を見るたび、この子たちはここで暮らせていいなあ。

とつぶやいていたことを思うたび、まだまだ消化できない気持ちが私を捉えます。

 

里親ってこんな思いを何度となく繰り返しながら、

その子にかかわることが許された時間だけ、めいっぱい子どもに

寄り添って心を砕いて・・・、そうして出会いと別れを

積み重ねていくんだろうな。と改めて先輩たちに

思いを馳せる日々です。

 

これからの彼女にいつか豊かな明日が訪れますように。

 

『つくしんぼ会に力をもらって・・・』 里母SG

 

昨年、双子の娘たちが大学生になり、二人とも県外に出たのをきっかけに手を挙げました。現在、年長5歳になる女の子と年少4歳の男の子の姉弟を24年7月からお預かりしています。

一緒に暮らしてようやく1年ですが、大変濃い日々でしたのでもうかれこれ2,3年連れ添っている気分です。

 

里親になりたい。と考えた私の大きな動機の一つがこの里親会の託児経験からでした。

 

一カ月に一度、里親会定例会の際の里子ちゃんたちの託児をさせていただいていたのですが、

最初は無表情だった子がどんどん表情豊かになっていき、寡黙だった子が回を重ねるごとに、「お母さんがね。お父さんがね。」と里親さんのことを満面の笑みで話してくれるようになったりと、毎月目を見張る驚きがありました。

 

安心できる家庭を得て、毎日たくさんの愛情を注がれて大事に育てられている様子が、どの

お子さんからもにじみ出ていました。

 

私にとって里親会の託児は単なる託児ではなく、毎回なにか素敵な出来事が起こる場所でした。

 

そして家庭に入った子どもたちの劇的な変化を見るにつけ、「里親」に、少しずつ気持ちが傾斜していきました。実際、託児の際にお会いする里親さんたちは、いつも輝いていて、私もいつか・・!と、今に至った次第です。

 

しかし、実際に子どもたちとの生活を始めてみると、やはりそれぞれに抱える問題や、哀しみの深さに、辛くなることも多々ありました。

そのたびに児相の担当の方たちや先輩里親さんたちに相談し、助けていただきました。

改めてあの時の里親さんたちの笑顔の裏にはこんな苦労が隠されていた事を知り、先輩の皆さんに対し尊敬の念を新たにしている今日この頃です。

 

最近は子どもたちも「すくすく」と音が聞こえるような成長ぶりで、家族4人(時々6人)賑やかで楽しい日々を過ごしています。

先日、上のお姉ちゃんに「あなたが我が家に来てくれて本当に幸せ。」と言ったところ「お母さんもあたしを探してくれてありがとう。今のお母さんがお母さんになって本当にうれしい。」とにっこりしてくれました。

 

男の子の方は、我が家に来た当初は甘えることも少なく、人の区別もつきにくかったのですが、今では、「お母さん大好き!お母さん抱っこ!」と一日中私にくっついていて、私がスカートを

はいただけで、「お母さん、かわいい~」と絶賛してくれるようになりました。

私は人生の中で異性にここまで愛されたことはありません(笑)

 

こういった思いがけない日々のプレゼントが、私たち夫婦の人生を彩り、豊かにしてくれていて、本当に幸せです。

 

おまけですが夫婦仲も堅固になりました。別にいままでも不仲ではなかったのですが、なにかしら問題を抱えた子どもが家にやってきて一緒に暮らすわけですから、今まで以上に助け合わないとやっていけません。それに子どもたちのこれからの家庭のモデルにもなるわけですから、「夫婦仲良く?」がんばっています。

 

私たちを支えてくれるたくさんの人に感謝しながら、これからも子どもたちとの縁を大切に、

里親としても力をつけていけるよう努力していきたいと思っています。